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SUS(ステンレス鋼)だけで判断すると失敗する材質選定の落とし穴
― 「ステンレスなら安心」が危険な理由とは? ―

作成日:2026.06.05

SUS(ステンレス鋼)だけで判断すると失敗する材質選定の落とし穴

設備や配管、タンクなどの材質選定を行う際、「とりあえずSUSにしておけば安心」という判断がされるケースは少なくありません。

確かにSUS(ステンレス鋼)は、耐食性に優れた材料として、多くの工場設備やプラント設備で使用されています。

しかし実際の現場では、「SUSなのに錆びた」「想定より早く腐食した」「溶接部だけ劣化した」といったトラブルが発生することもあります。

これは、「SUS=腐食しない」ではないためです。

材質選定では、流体・温度・濃度・圧力・運転環境など、複数の条件を総合的に確認する必要があります。

本記事では、SUSだけで判断してしまうことで起こりやすい失敗例と、材質選定で本当に重要となるポイントについて解説します。

1. SUSとは?ステンレス鋼の基本知識

SUSとは、 一般的にステンレス鋼(Stainless Steel)を指します。

鉄をベースにクロム・ニッケルなどを含有することで、 耐食性を高めた金属材料です。

工場設備やプラント設備では、 耐久性やメンテナンス性の高さから、 幅広く採用されています。

代表的なSUS材の種類

代表的なSUS材には、 以下のような種類があります。

代表的なSUS材の種類

特にSUS304は、 耐食性と加工性のバランスが良く、 多くの設備で使用されています。

一方で、 使用環境によっては別材質の方が適しているケースもあります。

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SUS304とSUS316Lの違い|タンク材質で変わる耐食性とコストの考え方 使用環境で変わるタンク材質の考え方

2. なぜ「SUSなら安心」と思われやすいのか

SUSは、「錆びにくい」 というイメージが強いため、 万能素材のように扱われることがあります。

しかし実際には、鉄粉の付着による「もらい錆」が発生したり、使用環境によって腐食や劣化が発生します。

そのため、 材質名だけで判断するのではなく、 運転条件を含めた検討が必要になります。

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3. SUSだけで判断すると起こりやすいトラブル

設備トラブルの原因として多いのが、 「使用環境とのミスマッチ」です。

見た目では問題がなくても、 内部で腐食が進行しているケースもあります。

塩素系成分による腐食

SUSは、種類により 塩化物イオンに弱い性質ものがあります。

たとえば、

  • 次亜塩素酸
  • 塩酸系薬液
  • 海水
  • 塩分を含む洗浄液

などを扱う環境では、 孔食(ピンホール状の腐食)や応力腐食割れが発生することがあります。

特に、 食品工場・化学工場・洗浄設備などでは注意が必要です。

高温環境による耐食性低下

同じ薬液でも、 温度が上がることで腐食性が急激に高まる場合があります。

常温では問題がなくても、

  • 加熱工程
  • 蒸気ライン
  • 高温洗浄

などでは、 想定外の腐食が発生するケースがあります。

材質選定では、「何を流すか」だけではなく、「何℃で使用するか」まで含めた確認が重要です。

溶接部だけ先に腐食するケース

現場で多いのが、 母材ではなく溶接部だけが先に腐食するケースです。

これは、

  • 溶接時の熱影響
  • 酸洗不足
  • 表面処理不足
  • 施工品質のばらつき

などが原因になることがあります。

設備全体では問題がなくても、局所的な劣化が原因で漏洩や停止につながる場合があります。

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実は危険?「とりあえずSUS304」の落とし穴

現場では、 コストや汎用性の理由から、 SUS304が選定されるケースが多くあります。

しかし、 使用環境によっては耐食性が不足する場合があります。

SUSだけで判断すると起こりやすいトラブル

特に、上記のような環境などでは、SUS316や別材質が適しているケースもあります。

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材質選定で本当に重要なポイントとは?

材質選定では、 単純に材料名だけを見るのではなく、 使用環境全体を整理することが重要です。

材質選定時に確認すべき項目

主な確認項目としては以下になります。

材質選定時に確認すべき項目

これらを総合的に確認したうえで、 適切な材料を選定する必要があります。

SUS以外が適しているケースもある

設備条件によっては、SUS以外の材質が適しているケースもあります。

SUS以外が適しているケース

重要なのは、「高価な材質を選ぶこと」ではなく、「環境に適した材質を選ぶこと」です。

初期コストだけで判断すると逆に高くつくことも

設備導入時は、 初期コストを優先して材質を決めてしまうケースもあります。

しかし、材質選定を誤ると、

  • 短期間で交換が必要になる
  • 設備停止が発生する
  • 漏洩リスクが高まる
  • メンテナンス費用が増加する

など、

結果的に大きなコスト増加につながる場合があります。

長期運用を見据えた材質選定が重要

設備は、 導入後に長期間使用されるケースが多くあります。

そのため、初期コストだけではなく、

  • 耐久性
  • 保守性
  • 更新頻度
  • 安全性

まで含めて検討することが重要です。

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まとめ

SUSは非常に優れた材料ですが、 すべての環境に適している万能素材ではありません。

材質選定では、流体・温度・薬液・施工方法・使用環境まで含めて総合的に判断することが重要です。

設備トラブルを防ぎ、 長期的な安定稼働につなげるためにも、「とりあえずSUS」ではなく、 使用条件に適した材質選定を行うことが重要といえるでしょう。

よくある質問(FAQ)

SUS304とSUS316の違いは何ですか?
SUS316はモリブデンを含んでおり、SUS304よりも耐食性に優れています。
特に塩化物環境や薬液環境では、SUS316が選定されるケースがあります。
(溶接構造物や長期耐食性を要する場合は、SUS316Lが選定されます。)
ステンレスなのに錆びることはありますか?
あります。
ステンレスは「錆びにくい材料」ですが、鉄粉の付着により錆びることがあります。
また、使用環境によっては腐食が発生する場合があります。
特に塩素系薬液や高温での使用環境下では注意が必要です。
材質選定で重要なポイントは何ですか?
流体・温度・濃度・圧力・洗浄条件など、使用環境全体を確認することが重要です。
単純に「SUSだから安心」と判断するのではなく、運用条件に適した材料を選定する必要があります。
SUS304を使えばほとんど問題ありませんか?
環境によっては問題が発生する場合があります。
特に塩素系成分や強酸・強アルカリを含む環境、高温環境ではSUS304では耐食性が不足するケースもあります。
材質選定を間違えるとどうなりますか?
腐食・漏洩・設備停止・交換頻度増加など設備トラブルにつながる可能性があります。
結果として、メンテナンスコストや運用コストが増加する場合があります。
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